Paris

ロビン・ウィリアムズの『いまを生きる』
志村喬の『生きる』

人間の生をテーマに作られた映画は世界各国に沢山あるが、
果たして憧れの街、Parisを舞台に作られた場合、どのように見えてくるのか―。

心臓に病を抱え余命いくばくも無い青年を中心に、シングルマザーの姉、美人女子大生、
その学生に年甲斐も無く絆される歴史教授、そしてその弟の建築家。
パリの街中ではマルシェの八百屋、魚屋、パン屋、そして不法移民がそれぞれのスタイルで
日々を懸命に生きている。

潰れかけたデパート再生に奮闘する『百貨店大百科』、
飼い猫を探しながら近隣の交流を描く『猫が行方不明』
どれもパリを舞台に人間交差点を描くことに長けている監督セドリック・クラピッシュだが、
今作はその集大成とも呼ぶべき実に人間臭い一作。
誰もが不満だらけで、文句を言うのが好き。
恋をして、口論して、嫉妬して、そしてまた恋をする。
そんな些細な日常がやけに愛おしく、そして美しく思える街、それがParis。

昭和歌謡のようにノスタルジックなwax tailorのseize the dayに乗せて
ブレーキの無い車はパリの街を静かに加速して行く。