今、正に自分の子供が受験真っ盛りの親も多い事でしょう。
中学受験なんかはもう結果が出ているのでしょうか。
でも、果たして子供は本当に”受験”をしたかったのでしょうか?
そもそも、自分の子供が今、本当に欲しいもの、したいことは何なのか
把握できている親は一体どれ程いるのだろうか。
逆に子供は知らないだろう、気付かないだろうと思っている親のちょっとした変化や
心境をつぶさに感じ取っているのは実は子供の方なのかもしれない。
自分は大黒柱である誇りと威厳を保ちたい一心に、会社をリストラされた事を家族に言い出せずにいる父親。
家族を繋ぎ止めている存在のはずなのに、どこか虚無感を覚える母親、
自分は一体何をしたいのか、どんな大人になりたいのか見えなくなってしまっている大学生の長男。
男のクセに、と咎められても、どうしてもピアノを習いたい小学生の次男。
一見、どこにでもいるごく普通の家庭の様子をゾクッとするようなリアリティをもって丁寧に
見つめ続ける今作は、まさに現代日本の弱さを再確認せざるを得ない作品となっている。
親からの、いや世間からの常識の押し付けを持ってして子供の、人間の可能性や才能を
押しつぶすような世の中がまさに今の日本社会なのだとしたら、実に恐ろしい事である。
まるで判でついたような人間を次々と生産し続ける世の中に疲れてしまった日本人が
病んで行き、果ては自ら生きることを諦めてしまう日本に、成長する力はまだ残っているのだろうか。
ラストシーンのソナタに込められた一光りの希望が観る者を何かに導いてくれる事だろう。
疲れてしまった時にまた引っ張り出して観たくなるような一品である。


