まだ、携帯電話もパソコンもない時代。
人はテレビのニュースで世情を知り、新聞を熱心に読んだ。
たった20年前の出来事である。
1985年、夏。
日航機墜落事故という、前代未聞の大事故を廻る地方新聞社と記者達の激動の一週間を追った怪作。
国民の注目を一心に集める新聞というメディアを通し、
ニーズの高い情報をより的確に、そしてライバルよりも逸早く届けるという技術を要求される新聞記者という仕事。
上司との丁々発止の駆け引き、息をもつかせぬスリリングな展開に観客は息を呑む事だろう。
今でこそインターネットという回線が世界中を廻っているお陰で
知りたい情報が瞬時に手に入る世の中になったが、
かつては足を使い、そして手を使って情報を運び紡ぎ上げた。
そこには人間の熱い感情がそこかしこに散りばめられている。
おそらく予算が豊富にあっての事だろう。
一連の事件を追う各メディア陣の様相も様々で、
テレビ関係者は無線電話を使い、ハイヤーで移動しながら実にスマートに仕事をこなす一方、
地元新聞社の主人公達は、自らの足で現場の山中を駆け巡り、
民家で一般家庭の電話を借りながら、やっとの思いで”地元オリジナル”に拘った記事を作り上げる。
彼らの汗滲む姿を見て、どこか思い当たる節のあるサラリーマンは多いのではないか。
昭和懐古が昨今のブームであるとすれば、まさしくこの映画で世のお父さん世代は
嘗ての自分を誇らしく思い出すのだろうか。
再び、あの頃の熱い何かが沸き起こるオジサン応援歌のような一作である。


