Sushi-rituarity topic vol16 根気

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えー、鈴虫の鳴き声もよいよ可弱くなってまいりまして、これからよいよ秋も深まっていく気配を漂わせておりますが、私たち鮨屋も一年で一番仕事が愉しくなる時期でもありますな。

豊穣の秋とは良く言ったもので、魚も野菜も美味しいものが大変増えて来ます。お客様もそれにともない足数が多くなってきますし、手前共も食材の選択肢が多く料理人冥利に尽きる秋の到来です。

ただしこの秋の到来を心から愉しいと思える心境に至るまでに私たちは非常に長い長い辛抱と根気が必要なのです。いわば食材と会話しながらの仕事を覚えるまでというのでしょうか、まー手前もまだまだこの世界では若造なのでえらそーな事は言えやしません。ただ秋の到来を嬉しく感じるようになったのはこの数年ですし、それまでは本当に寧ろ面倒くさいという気持ちが先行しておりました。

多分 どんな職業も大なり小なりの根気が必要なのでしょうが、この板前業はある意味これが最も求められる資質といっても過言ではないでしょう。 上下関係、接客、体力面、技術の研鑽、などほとんどすべてにおいてこの根気が求められるしごとであるわけですな。 まあこれで世間様は寿司職人の道は険しいいというイメージが付きまとっているとおもいますが。

ただ根気さえあればいい板前になれるかと問われればそうでもないんですなこれが。根気というベースがあってその上にセンスと創造力、直観力、試行錯誤を恐れない探究心などの何かを築き上げて行くことが求められるんですな。そしてそれらを乗り越えた後に成熟する人間性。実際20代、30代、40代の方を面接、採用、試用期間とするときなどは年代によってそのどこら辺にあたるのか良く観察してしまうものですしね。